命を救った奇跡の落書き

タカトシの涙が止まらナイトで紹介

●命を救った奇跡の落書き

それは大学3年生の夏の出来事

酔って車にはねられた彼は病院にいた

飲み会や麻雀、ゲームなど遊び呆けていた彼が寝るのは大抵 朝方

病院のルールは厳しく、朝6時に起床、消灯後はテレビも音楽を聴くのも禁止されている

ある日、ヘッドフォンでロックを聴いていると、隣のベッドの寺内さんが戻ってきた

「いいことを教えてやるよ。2年前には入院患者用の喫煙所があったんだ。また入れるようになったんだ」

「どこにあるんですか?」「屋上だよ」

屋上の隅に一室しかないトイレがあった

ふと目の前の壁を見ると…“痛くて眠れない死にたい”と書かれてあった

その下には“私も似たようなものです”

さらに“頑張れ!俺もなんとか生きている”と落書きは続いていた

利き腕が使えない彼は、その下に“がんばれ!”と続けた

それから雨の多い日が続いた

「秘密基地が閉鎖されるみたいだ」と寺内さんから聞いた

彼らが落書きの主に届けたいメッセージが、もう人の目に触れる事すらなくなってしまう

彼は屋上に急いだ

“弱音はいくら吐いてもいい その分一生懸命生きろ!”と落書きが増えていた

“508号室に来い 俺はそこにいる”“神様が呆れるくらい生きてやれ!”

“あなたの味方がここにはたくさんいます”“絆だな~♡”

“お前ならできるぞ!”“Fight!Fight!”“俺も辛い でも乗り切ろう”

“一人じゃない”“泣くなよ 笑えよ”“生きろ!”

届いていた…“ありがとう”僕らの想いはちゃんと落書きの主に届いていた

大学3年の夏、入院生活でほとんど使い果たした最悪の夏休み

でもそこで触れた温かさは今の僕の大切な宝物…

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