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幼い頃から人の役に立つ仕事をするのが夢だった
ヘザー・クルーガーさん(25歳)は、看護助手として働き始めた
次第に体調が悪化、めまいが続き、立っていられないことも
髪の毛も抜け始め、ついには腸の損傷も見つかった
2014年1月、好きだった看護の仕事も辞めざる得なかった
診断は自己免疫性肝炎
体に入った異物を除去する免疫機能が、何らかの異常により
肝臓内の正常な細胞や組織を攻撃して今う病気
半年後には、余命2カ月を宣告
残された道は、肝臓移植
しかし脳死者を待つ訳にもいかない
生体肝移植しかなかった
適合率が高い家族に加え、従兄弟も提供を申し出たが、適合する者はいなかった
 
わずかな望みにかけ妹と共にドナーを求めるチラシを作成
街頭で配り、Facebookでも呼びかけを募った
それにより一般から10名が提供を申し出てくれたが、適合者はいなかった
 
そんな時にかかってきた一本の電話
 
電話をかけてきたのは、クリス・デンプシー(36歳)
ヘザーの住む町から12キロ離れた村の役場に勤務していた
いつもなら外の店で食べるのだが、この日は店の閉店時間が迫ってため、
2キロ離れた土木部車庫内にある休憩所で取ることにした
そこには補修工事の学生アルバイトたちが、ちょうど休憩していた
「ジャック、元気がないな、どうしたんだ?」
「例のドナーがまだ見つからないんだ」
それは適合検査を受けたヘザーの従兄弟ジャックだった
クリスとジャックは顔見知り程度で言葉を交わしたことはなかった
「僕の肝臓をあげられたら、従兄弟の姉さん まだ25歳だよ」
クリスは、そんな会話を耳にした
名前すら知ら無い女性なのになぜかクリスは気になったてしかたがなかった
3日後には、いてもたってもいられなくなった
自分にもできることはないのかと…
「ジャックだよね…この間 休憩所で君が話しているのを聞いていて従兄弟のお姉さんの話 詳しく聞かせてくれないか?」
詳しい状況をジャックから聞いたクリスは、
「その生体肝移植の検査 受けるよ。もし適合したら僕の肝臓を使ってほしい」
結果は、奇跡的に適合した
 
ドナーの死亡リスクが高い、さらに25%が術後に合併症を起こしているデータもある
母から反対されたが、それでもクリスは、ヘザーに電話をかけた
「もしもしヘザー・クルーガーさんですか?はじめましてクリスと申します。わしたの肝臓を差し上げます」
 
クリスは、困っている人がいれば手を貸さずにはいられなかった
16歳の時には脳死の際の臓器提供を決め、その後 骨髄バンクにも登録
高校卒業後、人を助ける仕事をしたいと選んだのは、海兵隊
除隊後は見識を広めるため大学に進学し、村役場に就職した
違法建築を取り締まる部署に配属されたとき、
車椅子の老人が住む古い家が崩れ落ちそうになっていると聞くと、
法令違反だからと取り壊すのではなく寄付を募って建て直した
 
2015年2月、2人は初めて顔を合わせた
「体の具合はどう?」「大丈夫です。本当にいいんですか?」
「困ってる人がいて僕が役に立てる。それ以上の理由なんて必要ないよ」
「怖くないんですか?」
「全然、誰かの命を救えるなんてこんな素晴らしい体験をさせてもらって むしろ感謝してるくらいだよ」
クリスは移植手術にかかる費用のための募金集めまでかって出た
 
手術までの2か月の間、家族ぐるみで何度も食事や映画に行くなどに機会をもち、移植に反対していた母もヘザーのことを気に入ってくれた
好きな食べ物から映画や読書に至るまで2人の好みはぴったり一致
いつの間にか2人で一緒にいることが当たり前になった
クリスはどんなに苦しくても明るさを失わないヘザーの強さに惹かれ、いつしか恋をしていた
 
しかし手術を目前に控えたある日、
「僕は君に肝臓を提供するけど そのことで僕に借りを作ったとは思ってほしくないんだ。だから手術が終わったら もう無理に僕に連絡したりしなくていい。それぞれお互いの道を歩いて行こう」
クリスは肝臓を提供することを彼女に重荷に感じてほしくなかった
 
2015年3月16日、生体肝移植手術が行われた
クリスは8時間、ヘザーは12時間にも及ぶ大手術だった
結果は、見事成功
肝臓はヘザーの中で正常に機能し始めた
クリスも無事、肝臓は1か月後に元の大きさに戻った
 
手術後 クリスとヘザーは交際し、2016年2月から一緒に暮らし始めた

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