先生と一人の少年の話

タカトシの涙が止まらナイトで紹介

●先生と一人の少年

ある小学校でいいクラスをつくろうと一生懸命な先生がいた

それは私が5年生の担任になった時のことでした

その少年は遅刻して悪びれもせず教室に入り、私が「おはよう」と言っても返ってこない

あきらかにクラスの友達とも馴染めていない様子

私はどうしてもその少年が好きになれず、いつからか毛嫌いをするようになっていった

そして中間記録の連絡欄に悪い所ばかりを記入するようになっていた

あるとき少年の1年生からの記録が目に留まった

“夏休みの宿題の絵日記には家族旅行の思い出が楽しそうに描かれていた。母親の話では家事を率先して手伝うとの事。朗らかで友達が好きで人にも親切。勉強もよくでき、将来が楽しみ”

間違いだ、他の子の記録に違いない…その時の私はそう思った

彼の2年生以降の記録を見て、そのすべてを知るまでは…

“母親が病気で世話をしなければならず時々、遅刻する”

“母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りをする”

そして…“母親が死亡。希望を失い悲しんでいる。”

“父は生きる意欲を失い、アルコール依存症になり、子供に暴力を振るう”

ダメだと決めつけていた彼は深い悲しみの中を生き抜いていた

「竹山君、先生ね、夕方まで教室で仕事しているから、勉強していかない?」

彼は言葉なしに頷いた

それから彼は毎日 毎日 予習復習を熱心に続けたのです

笑顔を取り戻し、授業での積極性も見え始めた

6年生のなると私は彼の担任ではなくなりました

そんなある日彼から一枚のカードが届きました

“先生へ 先生はぼくのお母さんのようです。そして出会った中で一番すばらしい先生でした”

それから6年 またカードが届いた

“先生へ 明日は高校の卒業式です。僕は5年生で先生に担当してもらってとても幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます”

それから10年後 彼から手紙が届いた

その手紙には医者になったという報告と父親に叩かれた体験があるから感謝と痛みが分かる医者になれる、と書かれていました

“僕はよく5年生の時の先生を思い出します。あのままダメになってしまう僕を救ってくださった先生を神様のように感じます。大人になり医者になった僕にとって最高の先生は5年生の時に担任してくださった先生です”

その1年後、彼から届いたのは…結婚式の招待状でした

その招待状には”母親の席に座ってください”と書かれていた

ありがとう…私は今でも教師を続けています

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